「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本」

当ピアノ教室(高槻市)では導入期のテキストとして『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本1~3巻』をどんなお子さんにも使用しています。その理由としては色々あるのですが、最大の理由は、編著の北村智恵先生もおっしゃっておられるように、私が「楽」だからです(笑)。

「楽」と言っても「サボる」意味の「楽」ではありません。楽譜に音楽的な要素がたくさんあるので、私があれこれ言わなくても、子供達がそれを感じて弾いてくれることがよくあるのです。そう言う意味で「楽」をさせてもらっています。

それを再認識したRちゃんの最近の出来事です。

 

人は見かけによらぬもの

高槻市から通ってくれている中学1年生の女の子Rちゃんはちょっぴりクール(サバサバした感じ?)。通っていた教室が閉鎖になって、2年前ご縁あって当ピアノ教室(高槻市)に移ってきてくれました。だから幼いRちゃんを知らず、来られた時には既にクールなお子さんでした。

彼女は何かしら聞いても、「どっちでもいい」、「わからん」が口癖で、一見、思春期の女の子独特の反抗期かな?と思えそうなのですが、全然、反抗的ではなく、フレンドリーな感があるので、私から見ればやはり「クール」なのです。

そして、そのようなタイプのお子さんは一般的に音楽的な表現が苦手かな?と思えそうですが、私はそのように思い込まないようにしています。過去に指導していた生徒さんで、普段は少しやんちゃな感じですが、チャイコフスキーの小品などを弾かせると、とてもきれいな音で、優しく弾いて、私をニンマリさせたことがあるからです。思い込みは禁物。

「表情豊かに」って?

とはいえ、音楽的な表現と言っても漠然として、何のことやら…って感じですね。

何も言わなくてもその音楽を表情豊かに弾くお子さんもおられますが、皆がみな、弾いているうちにその様になるわけではありません。まずは弾く人がその音楽(たとえ、その1フレーズでもいい!)に何かを感じないと音楽的な表現はできないのではないかと思います。物語を読んで、面白いと思わなければ、他の人にそれを語れないのと同じかな?と思います。

Rちゃんはどちらかと言うと、そういう表現が苦手なタイプです。というよりは「しない」タイプでしょうか。もちろん、レッスンでは表現するように導いていくようにはします。ですが、本人が感じてもいないことを私が強引に表現させるのも、これまた違う感じもするのでその辺りが難しいとも思います。

聴き逃がしません!

Rちゃんが弾いているのは「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本3巻」の「きれい好きなチュウチュウおくさん」。

ここでは音楽で何かを描写する事を習います。床を「ゴシゴシ」磨いている様子を音でそのまま表現する楽しい曲です。

「ゴシゴシ」している音は誰でも表現し易く、楽しく、にぎやかな感じに弾けます。Rちゃんもそうでした。

私が「もっと荒っぽくゴシゴシして!」と言うと、いくらクールでもそれに応えて「ゴシ、ゴシ、ゴシ」(本当はミレミレミレなんですが)と、一生懸命磨いている様を出してくれました。

けれども、私がニンマリしたのはそこではなく、そのあとの1フレーズの2小節です。ゴシゴシした後のその2小節は、この前まで必ず間違える箇所だったので、萎縮してもおかしくはないのに、間違えもせず、逆に、すーっと伸びやかな感じに弾いたのです。「おっ⁈」と私は思って、敢えて止めて聞きました。

「ここ、どんな感じに弾きたい?」どんな感じと漠然と聞いても難しいかな?と思い、

「例えばゴシゴシに続けて、賑やかな感じか、柔らかな感じか?」と、聞いて、一瞬、しまった!と思いました。いつものように「どっちでもいい」と言ってしまうか?と。

なんと、Rちゃんは「…ん?…静かにスーッて弾きたい」と言いました。
私は心の中で「!! そう!そう弾きたいよねぇ!」と叫びました。

表現に「正解」はないと思いますが、確かにこの箇所は静かに、伸びやかな音で弾きたくなるのです。しかも「ゴシゴシ」した後なので伸びやかな音を感じ易い!それをRちゃんが自分で感じて、表現してくれました。

折角、上手に表現したのにストップかけたのは、その表現は偶然ではないことを本人にも確認させ、私も確信したかったからです。そして、そこを伸びやかに弾いたことで、その後の「ゴシゴシ」はもっと賑やかさが増し、生き生きとした、面白い曲に仕上がりました。

チコちゃんに○○○○○!?

私が「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本」を使うのはこんな事がよくあるからなのです。いい物語が素敵な感動をもたらしてくれるように、私が強引に表現させなくても、勝手に(?)子供たちが感じてくれる、弾いてくれる、ありがたい教本です。

そして私も子供たちのその表現を絶対に聴き逃してはいけません。「ボーっとレッスンしてんじゃねーよー」なのです(笑)。

思春期のお子さんは照れや反抗から何かを表現することをためらうことも多々ありますが、先のRちゃんとのレッスンは音楽で何かを語ってくれるいい時間が過ごせたと思います。

無料体験レッスンにご興味の方、大歓迎です!ぜひこちらにご連絡ください。