今回は、これから当ピアノ教室(高槻市)でピアノを習い始めようかとご検討の方へ、ピアノを始める時にご準備頂きたいことについて、4回シリーズでお話したいと思います。
第1回目は、楽器のご用意についてです。
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楽器の準備
ピアノを始める時に悩む要因の一つはやはり、自宅の練習にどんな楽器を用意するか、だと思います。
と言っても、以前、お問い合わせのお電話で「えっ?楽器を用意しないといけないんですか?」と聞かれて、こちらが驚いたことがあります。
そうですね、それはピアノなどの楽器を習っている人だけの「当たり前」で、知らない方がおられるのは無理もありませんね。
そうです、ピアノ教室に通うと自宅でのお練習がもれなく付いてきます(笑)。ですから楽器を準備して頂く必要があります。
そこで、どんな楽器が良いかについて、少しお話しさせて下さい。
「ピアノ」と言うけれど
練習の楽器として、普通、考えられるのは
- キーボード
- 電子ピアノ
- アップライトピアノ
- グランドピアノ
この4つだと思います。
大きく分類すると、
- 電気で動く:キーボード、電子ピアノ
- 電気必要なし:アップライトピアノ、グランドピアノ(以下ピアノ)
となります。
それぞれの特長は詳しいサイトがたくさんありますので、調べられると良いと思います。
ここからは私の考えです。
キーボード
体験レッスン時によく聞かれるのは「キーボードか電子ピアノどちらでもいいですか?」です。私はキーボードはダメです とお伝えしています。
というのは、
まず、キーボードの鍵盤はピアノの鍵盤の感触(タッチ)とは全く違うのが反対する理由です。キーボードの鍵盤は軽いから幼いお子さんでも音が弾きやすくて良いのでは?、と思われますが、レッスンに来た時に教室のピアノと全く違う感覚ならどうでしょう?間違いなく、お子さんは戸惑います。自宅で弾けていてもレッスンで弾けなくなる可能性は大。
それと反対する理由はもう一つ、
キーボードはスタンドに固定されてないので持ち運びが簡単です。長所は「どこでも弾ける」ことですが、裏を返せば、どこででも、姿勢が悪くても弾いてしまうことになる ということです。
ピアノを弾く時はピアノと演奏者の位置、椅子の高さがとても大切になります(※1)。加えて、足が床についているかどうかもおろそかにはできません。
ですから、キーボードを置く場所(高さ)に配慮しなくてはいけません。
例えば、キーボードならお母さんの目の届く食卓テーブルに乗せて…なんて状況もあり得る訳で、その時、「正しい高さ、良い姿勢」を毎回セッティングできるかどうかです。疑問ですよね? 加えて、音を響かせるダンパーペダルもおもちゃのようなものなので、キーボードがどんなにいい音だとしても、お勧めできないのです。野球のリトルリーグに入った時に、おもちゃのプラスチックのバットを買い与えるのと同じなのです
キーボードはピアノの代わりにはなりません。
※1参考ブログ:「ピアノを始めるときの準備②~ピアノ椅子編」、「ピアノを始めるときの準備③~足台編」)
電子ピアノ
さて、キーボードと比べられる電子ピアノですが、これは前述したキーボードの私の反対理由をほぼクリアしています。
スタンドに固定されているので、鍵盤の高さは、ピアノの高さとほぼ、同じです。だから高さを気にする必要はありません。
中には、スタンドに固定されてない、卓上型の電子ピアノがありますが、これは前述のキーボードの理由と同じく、お勧めできません。
そして鍵盤ですが、ピアノの鍵盤に近いタッチになっているのがほとんどです。それに加えて電子楽器ならではの多彩な機能があるのも魅力の一つだと思います。
しかも、ヘッドフォンでも聞けるので、夜間の練習にも使えます。だからマンションなど、音を配慮しなくてはならないお家には有難い代物です。そして何より、メンテナンスが要らないし、ピアノより安価なものが多い。(中にはピアノよりお高いものもありますが!)
ただし、電子ピアノには寿命があります。修理もできますが、ピアノほど長持ちはしません。ですから、中古は避けた方がいいでしょう。
最初に電子ピアノを購入されるなら、高価な物にされる必要はありません。ですが、鍵盤がピアノタッチで(最近はほとんどそうです)、軽すぎない物を選んで下さい。あと、音がスピーカーがどこについているか、これも意外と大切です。と、色々と条件をつけると、それなりのお値段のものにはなるかもしれませんね😓。
電子ピアノ VS ピアノ
「そしたら、電子ピアノでいいやん!」と思いますが、
電子ピアノはピアノの鍵盤に近いとは言いましたが、あくまでも「近い」だけで、はっきり言って別物です。ピアノより音が出しにくいこともよくあります。
それから、経験済みですが、ピアノと同じ時間弾いたら、疲れました。構造上、これは仕方がない事です。
そして、これは数年前に弾いた私の感覚ですが、最大の違いは音を弾き分けられないことです。出す音量(強弱)はコントロールできるのですが、もっと繊細なところはどうかと言うと、これはなかなか難しいと思います。
でも、メーカーによっても随分と違うようですし、技術の革新で電子ピアノも進歩をとげているので、もしかしたら、そのあたり、少しは改善されているのかもしれません。というのも、
あなどるなかれ?
先日、当ピアノ教室(高槻市)にお通いの小学6年の女の子Yちゃんのレッスンでした。彼女は3年前にお稽古を始めて、コツコツ、真面目に練習をするお子さんです。3年でぐーんと上達しました。
Yちゃんの自宅での練習は電子ピアノです。その日は弾き込んできた曲を聴かせてくれました。間違えずに弾いてくれたのはもちろん、その曲にふさわしい優しい音…いい音でした…。(^^)
とすると、電子ピアノも否定は出来ないのが正直なところなのです。電子ピアノで練習していたら、いい音を弾けない訳でもなく、ピアノで練習していたら、必ず上手になる訳でもないということです。
ただし、コロナ禍において、オンラインレッスンをYちゃんもやっていたのですが、対面レッスンが再開して、ピアノを久しぶりに弾いた時、「!めちゃめちゃ弾きやすい!」と彼女はとても驚いたそうです。それも正直な話です。
やっぱりピアノか!?
そうです。結論はやはりピアノになってしまうのです。そりゃ、本物なので高さにしろ、音にしろ良いに決まってます。
ピアノでしか出せない「音」があるのは間違いないです!
でも、現在の住宅状況や子供達の生活の状況(練習可能な時間)を考えると、ピアノが無理なお宅が多いことも否定できないし、理解もできます。ピアノにすれば逆に練習できなくなることもあり得ます。当然ながら、ご近所に対する配慮は不可欠です(※2)。だから絶対ピアノで!とは言えないのが現状です。
※2参考ブログ:「ピアノを始めるときの準備④~セッティング編」
そして、ピアノはやはり高価です。調律などの維持費もかかります。あ、でも、メンテナンスさえ怠らなければ、半永久的に使えないこともないです。
ピアノなら…
それならピアノを!とお考えなら…。数年ですが、調律師としてピアノに触れていた者としての考えをお話ししますと、
新品でなくていいのです。当ピアノ教室(高槻市)の生徒さんで、ピアノを使っているのは、お母さんがお使いになっていたピアノを弾いている子が大半です。十分です。もし、購入するとしても中古でも全然大丈夫。今は中古ピアノをリニューアルして販売もされています。これ、私も購入しましたが、良かったです。
騒音対策としては、普通、ピアノでも弱音(音をこもらせる)にする機能は付いています。あと、高価になりますが、サイレントピアノ(ヘッドフォンで聴ける)ピアノもあります。
ただし、新品でも中古でも正直、どこのメーカーでも良いわけではないと思います。前述しましたが、長く使っていくにはメンテナンスが必要なので、そのピアノの部品を取り揃えている、きちんとしたメーカーを選ぶことは必須です。
最初は安くてもいいやん!?
さて、どうしたものか?
理想はピアノですが、現実はそうもいかない…。
そして、親御さんが悩まれる最大の理由に「買っても続けられないのでは?」があると思います。…わかります、その気持ち。
私も娘のギターを購入する際、やはりそう思い、ギター、ケース、テキスト等々、ぜーんぶ揃って1万円ってのを、しかもインターネットで買ってしまいました。ギターですら(あ、ごめんなさい)その調子なんですから、高価なピアノを迷わない訳ありません!
幸い、娘はそれなりに弾けるようになったので、数年後にもう少し高いギターを購入しました。その時、店員さんに伺ったら、最初に勧めるギターは5万円以上の物だそうで、その理由は高いの買ったから頑張ろう、やめないぞ と思わせる為だそうです。
ギターはお金の価値がわかっている年代の人が買うのがほとんどなので、そのような脅迫的な買い方(笑)はできますが、ピアノの場合、これは幼いお子さんには言えないですね。言ったらダメですよ。
子供はそんなことで練習はしません(^_^;)。
結論は
電子ピアノでもいいでしょう。でも、たとえ最初に電子ピアノにされたとしても、途中での買い換えを念頭においといて頂きたいのです。電子ピアノを買ったら終わり!でなく、壊れた時、お子さんのレベルが上がってきた時、何かしらのタイミングでピアノへの買い換えが必要になるかもしれない… と覚悟はしといて下さい。
あと、電子ピアノでも、アコースティックピアノでもメンテナンスや修理をちゃんとしてもらえるメーカーの物が絶対です。
そして何より、一番は「買っても続けられないのでは?」と思われないよう、続けていけるように、私と生徒さんの努力がやはり必要ですね!
次回はピアノの椅子についてお話ししていきます。(※3)
※:こちらもどうぞ→「ピアノを良い音で聞いてますか?~アップライトピアノの音をより良く聞く方法!」
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